レーザーとは?
切開出来るスピードをレーザーの性能と思っている方がいらっしゃいますが
"切開する"のはメスが最適であり切開をするための医療機器ではありません。
レーザーの名の由来は
Light
Amplification
by
Stimulation
Emission of
Radication
の頭文字をとったもので直訳すると
"放射の誘導放出による光増幅"と言う意味になります。
何のこっちゃ?ですよね。私もです(笑)
空間には光が粒子のように粉々になって存在しています。
普通の光は様々な色の光で構成され、バラバラの光の位相が有り広がって行きます。
照明などの明かりを思って下さい。
対してレーザーは光と物質との相互作用の場合、誘導放出過程が生じ、物質中のエネルギーをある程度大きく引き出す事が出来、結果として入射光エネルギーの増幅が得られる
byアインシュタイン 事を利用し、真っ直ぐに進む単一の色の光で構成され光の位相も同じ光線です。
光には波長と周波数があります。
周波数とは1秒間の波の振動数であり
波長とは(wavelength)頂点から頂点までの距離を言います。
宇宙戦艦ヤマトのワープのグラフを思い出して下さいね。
波長と周波数は反比例の関係になります。
エネルギーは周波数に比例し波長に反比例します。
例えば長い間ストーブの前に座っていると、火傷をするかもしれませんが、日焼けはしませんよね。でも直射日光が当たる海辺などでは直ぐに日焼けします。
つまりストーブの光は赤外線で振動数の少ない(波長が長い)光であり、太陽光に含まれる紫外線は振動数が多い(波長が短い)光なんです。
現在医療機器として用いられるレーザーの種類と波長は
Argon:アルゴン488-514 レジン重合
AlGaAs:Diodeガリウム・ヒ素・アルミニウム・インジウム810-980
Nd:YAG:ネオジウム化したイッテリウム・アルミナム・ガーネット1064
Er:YAG:エルビウム処理したイッテリウム・アルミナム・ガーネット2940
YSCG:イッテリウム・スカンディウム・ガリウム・ガーネット2780
CO2:二酸化炭素9300-10600
等があります。
現在日本で保険適応のレーザーはCO2とNd:YAGですが
アメリカではすでに開発中止になっており主流はEr:YAGとDiodeレーザーになっています。なぜかと言うとこの2つが一番生体に対して効果的だからです。
当医院のレーザーは10年以上前からDiodeです。
以下生体への作用ですが
レーザー光を照射すると次の4つの事が起こります。
反射 透過 分散 吸収
作用を起こすのは「吸収」です。
組織はそれぞれ異なる光吸収特性を持ちます。
レーザーの波長が異なると、吸収される組織も異なります。
同じ出力でも照射面積で強度は変わります。
同じ強度でも、波長が変わると(異なるレーザーだと)吸収される組織が変わるので同じ作用をするとは限らないのです。
つまり出力だけでレーザーの性能は決められないのです。
レーザーの臨床手術(FDA認可)例
切除及び切開生検 インプラント二次オペ
未萌出歯の露出術 膿瘍切開及び洗浄
線維腫除去術 口腔内乳頭腫除去術
小帯切除術 歯内療法に伴う歯髄切断
歯肉圧排 肥大軟組織の縮小
歯肉切除術 壊死組織除去術
歯肉整形術 口腔前庭形成術
歯肉切開、切除術 軟組織における歯冠長延長術
止血、凝固術 口内炎、ヘルペス性疾患処置
歯肉弁切除術 歯周ポケット内デブライトメント
等さまざまな使い道があるのですが
レーザーのみで完結させるのではなく
患者さまの負担を少なく、治療期間の短縮であったり術中疼痛の軽減をして最高の結果を出せるようにレーザーを併用します。
代表的な処置には以下のものがあります。
LAPT:レーザー・アシステッド・ペリオ・トリートメント
LBR:レーザー・バクテリア・リダクション
LD: レーザー・ディブライトメント
次回に各論を述べたいと思います。