3月5日に
日本大学歯学部保存学教室
歯内療法講座 診療教授
明石 俊和 先生 の講演会に参加させて頂きました。
根の治療全般を歯内療法と言います。
直視出来ないし、保険の点数は低い(30分治療して200円~300円)し、面倒くさいしで
一番DRに人気のない治療だと思います。
でも、根の治療がしっかり出来ていないと、その上にどんなにキレイな歯を作っても
長持ちはしません。とても大切な治療なんです。
保険治療では5年でダメになると言う統計が出ています。
当医院ではラバーダムを掛け、だ液をブロックし、殺菌水やレーザーを用いて無菌状態をつくり治療をしています。
5年でダメになるなんて考えられませんね。自費治療では自信の10年保証です。
そこまで自信を持っている治療でも100%は有り得ないんです。
なぜなら、炎症は直視出来ない部分で起こっている事だからなんです。
例えば上顎の6番では、根管は3本と言われますが、50%近い確率で副根管、4本目が存在します。マイクロスコープの登場で副根管や破折線(クラック)は見つけやすくなりました。副根管で言えば慣れてくると、マイクロがなくても解る様になります。
もっと問題なのが、側枝と呼ばれるメインの根管から途中で枝分かれしている根管です。
これは絶対にマイクロでも見えないし、側枝の中が無菌化したかどうかは、ある意味経験で判断しているような状況で、この確実性の無さが成功率99.99%に近づけない理由でした。
今回、講演を聴いてまさに目からうろこが落ちる想いがしました。
側枝を無菌化する確実な方法も教えていただけました。
今日から当医院の歯内療法はますますパワーアップします。
以下抄録です。
無歯顎患者さんの顎骨内には根尖病変はありません。理由は根尖病変発現原因となる歯が喪失しているからです。根尖病変発症の原因である抗原物質が根管内に無ければ病変は発現せず、また、すでにある根尖病変は時間とともに消失し、骨となる。
根管治療成功の秘訣は根尖病変の原因である抗原物質を除去し、無菌化した根管系を確実に閉鎖し、根尖周囲組織への影響を排除する。すなわち根尖病変を孤立化させれば病変部は縮小、消失し、やがて骨組織に転化し口腔機能は回復する。
根管内汚物の抗原除去はリーマー、ファイルやNi-Tiファイルで除去する物理的除去法と薬剤により溶解除去する化学的除去法がある。
根管治療は繊細な注意力、熟練した技術、多大な労力と時間を必要とし、根気とやる気で患者さんからは信頼はされるが経済効果が伴わない報われない治療といわれ続けている。
さて、髄腔開拡、作業長の測定、根管拡大・形成、根管洗浄、消毒、根管充填が難しいのは根管系が三次元形態で、根管内を直視、直達の操作が出来ない、まさしく闇夜のカラスを見つけ出すがごとく、全くの手探り状態で治療を行わなければならないに尽きる。
しかし、本当に闇夜のカラスなのでしょうか。私はそうとは捉えておりません。
見えない闇夜のカラスをマイクロスコープで追いかけるのはやめにして、根管内の大敵を一網打尽にすくい取り根管外に排除するテクニックを伝授するのが本日の講演です。ご期待下さい。
明石先生ありがとうございました。期待以上のご講演でした。