矯正1st~2nd 長期管理
矯正治療のゴールは
永久歯での個性正常咬合を確立することにあります。
一般的に混合歯列期で上顎と下顎のズレがあまり大きくなく
単に歯がデコボコしているだけな状態では
永久歯になるまで経過観察してしまう場合がほとんどです。
歯のクロスが大きいとか、ディープバイトであるとか
では介在することもありますが
積極的にアプローチはしません。
この時期 将来 歯が並ぶよう取り外しの出来る
いわゆる"床矯正"で顎を拡げましょう。。なんて介在するDrもいますが
止めた方がイイと思います。
確かに上顎は口蓋縫合部がありますので
力を加えれば横に拡がります。
ですが下顎には縫合部がありませんので歯槽骨の部分のみで
歯が外に傾斜しているだけで
見た目だけ拡がったように見えるだけです。
将来どうなるかと言うと
見た目はまあまあキレイに並んでいるのですが
ほぼ間違いなく臼歯部のみしか咬めてなく
4番くらいから前歯は上下顎前歯が当たってない。。
そんな患者さまの矯正治療のやり直しが
最近とても多くなってきました。
どこをゴールに設定するかで意見は分かれると思いますが
機能的に良く咬める歯列は
結果的に見た目も美しくなります。
将来、歯を抜かなくても済むように顎を拡げましょう
なんて甘言には踊らされないで頂きたいと願います。
お子さんに変なストレスを与えることなく
矯正は短時間で終わらせた方が私はイイと考えます。
矯正治療、便宜的に1st(混合歯列期) 2nd(全て永久歯)と分けて行います。
1stでは 言葉は悪いですが極端な出っ歯や受け口
ディープバイトや大きなクロスバイト等で顎の正常な成長を阻害する原因の除去
主に、上下顎のバランスを整える事をメインに行います。
具体的には6番と前歯4前歯を整った位置に並べます。
で、一度装置は外して永久歯への交換を待ちます。
1st だいたいが6ヶ月~1年以内に終了です。
今のお子様達は顎が狭くなっていますので
将来歯がデコボコになってしまうのは もうしょうがないです。
進化の過渡期、将来は歯の本数が減るかもしれませんね。
大きな問題がなければ
2nd は本人がやる気になった時にすればイイと思います。
ただ1stを受けた方は歯に対する意識が高いので
割と早期 中学2、3年生から高校生にかけて始める事は多いですね。
さて、症例ですが
初診時は小学校4年生
受け口傾向があり
かなり叢生があります。
8ヶ月1st行いました。
ワイヤーのみです。
フェイシャル・マスクと言って上顎の前方牽引装置があるのですが
確かに上顎は前に出ます。
もっと受け口の度合いがおおきければ使用したと思いますが
下顎のカウインタークロックワイズ・ローテーションを誘発してしまい
下顔面高が長くなってしまう欠点があり
今回は使用しておりません。
アプライアンス・オフ時にはもう3番の萌出がせまっていますね。
当然スペースがないので
八重歯っぽくなり、2番を押してクロスにしてしまいました。
2ndは少し早めに中学1年後半から始め3年生でOFF
下顎前突の骨格なので
どうしても下顎前歯を倒し
上顎前歯を振り出す治しになります。
その人の骨格に合ったかみ合わせ~個性正常咬合です。